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追掛
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おひかけ
其方儀石川安五郎小松屋
遊女白妙同道にて
立退候節私しの
趣意を以て
追掛彌勒町番人重五郎と申者
支へ候を
切害に及び候段
不埓至極に付死罪申付る
と
大音あげ、
追掛しが
忽ちに
雲起り、
真闇になり、
大雨降出し、
稲光烈しく、
大風吹くが
如くなる
音して
座頭はいづくに
行しやらむ——と
言ふのである。
云にける物語
二枝に
分る
不題忠兵衞は主命なれば詮方なく
最云難き事の由を親子の者に云傳へ
其所をば
遁も出せしが
設し
追掛らる事もやと
意の恐れに
眞暗散方跡を
追掛河原の方へ到り
暗紛れの
出會頭に切込たれば女の
叫ぶ聲に里を切しことやと驚きながら
漸々件の男を