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いひかは
……「やあ」と
洋杖をついて
留まつて、
中折帽を
脱つた
人がある。すぐに
私と
口早に
震災の
見舞を
言交した。
花月の
平岡權八郎さんであつた。
花の
下ふむ
露のあした
双ぶる
翅の
胡蝶うらやましく
用事にかこつけて
折々の
訪おとづれに
餘所ながら
見る
花の
面わが
物ながら
許されぬ
一重垣にしみ/″\とは
物言交すひまもなく
兎角うらめしき
月日なり
隙行く
駒に
形もあらば
我れ
手綱を