トップ
>
襁褓
>
むつ
ふりがな文庫
“
襁褓
(
むつ
)” の例文
でも、父の
弥右衛門
(
やえもん
)
だの、
知己
(
しるべ
)
の人たちが、
産湯
(
うぶゆ
)
から上げて、お
襁褓
(
むつ
)
のうえへ転がしてみると、突然、
呱々
(
ここ
)
の声をあげた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さア、お腹は空いてくるわ、なんぼ泣いてもほっとかれるわ。お
襁褓
(
むつ
)
もかえてくれんわ。
踏
(
ふ
)
んだり
蹴
(
け
)
ったりや。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
部屋の隅から隅へかけて、細引が一本わたしてあって、それにお
襁褓
(
むつ
)
や、大きな黒ズボンが吊るしてある。
ねむい
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
子供らににッと笑って見せ、お
襁褓
(
むつ
)
を洗い、
釦
(
ボタン
)
を付け、尿瓶を掃除し、
絨氈
(
じゅうたん
)
をたたき、——家中はおろか、海の上までも、まるで
阿呆鳥
(
あほうどり
)
のように飛び廻るのであった。
ノンシャラン道中記:01 八人の小悪魔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「——
藁屋
(
わらや
)
の
勘
(
かん
)
さんとこで面倒みてやってるらしいんだけど、
唖者
(
おし
)
みたいにものを云わないし、お乳をやることもお
襁褓
(
むつ
)
を替えることも知らないらしいんですってよ」
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
「古浴衣はほどいてお
襁褓
(
むつ
)
に」祖母は耽り逸って、とう/\孫の夢までも空に描き出していた。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
上の男の子のゴム長靴を
穿
(
は
)
いた足や、三番めの女の
児
(
こ
)
のお
襁褓
(
むつ
)
をあてた
蜘蛛
(
くも
)
のような尻ッぺたやが、風にふかれる紙片のように、コロコロところがってゆく——。そンな夢だった。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
妻はお
襁褓
(
むつ
)
をこしらえたり、それを取り替えたり洗ったり、それに世帯の苦労が加わりながらも、始終機嫌の好い顔をして、赤ン坊の世話をした。妻は真から赤ン坊を可愛っているようだった。
愛の為めに
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「
赤子
(
あか
)
のお
襁褓
(
むつ
)
にしようかと思うて。」と答えた。
御身
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
その日、
産声
(
うぶごえ
)
が室に響くようなからりと晴れた
小春日和
(
こはるびより
)
だったが、翌日からしとしとと雨が降り続いた。六畳の部屋いっぱいにお
襁褓
(
むつ
)
を万国旗のように
吊
(
つ
)
るした。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
みどり色の光の輪と、ズボンやお
襁褓
(
むつ
)
の影が、ゆらゆら揺れて、彼女に目くばせするうちに、またもや彼女の脳みそを占領してしまう。またしても、いちめんぬかるみの、街道が見える。
ねむい
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
嬰女
(
あかご
)
のお
襁褓
(
むつ
)
の
乾
(
ほ
)
してある稲田の草庵の軒先からは、いつもうす紫に霞んでいる筑波の山が見えた。窓からは、
加波山
(
かばさん
)
の連峰が見え、
吾国山
(
わがくにさん
)
の
襞
(
ひだ
)
が、澄んだ日には、あきらかに手にとるように見える。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「蝶ちゃん、お
襁褓
(
むつ
)
の世話は、
勿体
(
もったい
)
ない」
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
六畳の部屋一杯お
襁褓
(
むつ
)
が万国旗の様に乾された。お君はしげ/″\と豹一の所にやって来た。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
煖炉
(
ペチカ
)
のなかで、コオロギが鳴く。天井のみどり色の光の輪と、ズボンやお
襁褓
(
むつ
)
から落ちる影が、またもやワーリカの半びらきの眼へ這いこんで、目くばせしながら、彼女の頭をもやつかせる。
ねむい
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
おかげで、乳は飲めん、お腹は空いてくる、お
襁褓
(
むつ
)
はかえてくれん、放ったらかしや。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
“襁褓”の意味
《名詞:おしめ》
「おしめ」を参照。
《名詞:きょうほう》
赤子を包む産着。
おむつ。おしめ。
《名詞:むつき》
「むつき」を参照。
(出典:Wiktionary)
“襁褓(おむつ)”の解説
おむつ(御襁褓)、は、尿や便を捕捉するため下腹部に着用する布や紙である。使用形態や元々の素材から大きく布おむつと使い捨ておむつ(紙おむつ)に分類される。
(出典:Wikipedia)
襁
漢検1級
部首:⾐
16画
褓
漢検1級
部首:⾐
14画
“襁褓”で始まる語句
襁褓乞
襁褓艸
襁褓敝衣