薄色うすいろ)” の例文
この方が、三つ四つ、さよう、……どうかすると五つぐらい年紀下とししたで。しまのきものを着ている。円髷のは、小紋か、無地かと思う薄色うすいろの小袖です。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まアどうもびっくりしますねえ、珊瑚樹さんごじゅ薄色うすいろで結構でございますねえ、私などはとても指す事は出来ませんねえ、これを頭へ指そうと思うと頭を見て笄が駈出してしまいますよ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
見も知らず、聞きも習はぬ人々の人傳ひとづてに送る薄色うすいろの折紙に、我を宛名あてなの哀れの數々かず/\
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
此の三人を正面にして、少しさがりて左手ゆんでには一様に薄色うすいろ裾模様すそもようの三枚がさね、繻珍しゆちんの丸帯、髪はおそろひ丸髷まるまげ、絹足袋に麻裏あさうらと云ふいでたちの淑女四五人ずらりと立ち列ぶは外交官の夫人達。
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
薄色うすいろの青きがねをかけたる女
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
この歸途かへりに、公園こうゑんしたで、小枝こえだくびをうなだれた、洋傘パラソルたゝんだばかり、バスケツトひとたない、薄色うすいろふくけた、中年ちうねん華奢きやしや西洋婦人せいやうふじんた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よねさんの薄色うすいろそで紫陽花あぢさゐむらさきはなも……およねさんの素足すあしさへ、きつぱりとえました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)