ずい)” の例文
「百姓弥之助の話」はこの男が、僅かに一町歩の天地の間から見た森羅万象の記録である、これこそ真に「よしずいから天上のぞく」
すぐとっつきに表階段があった。その手すりは大理石だが、それもヌーボー式のぬらりとした曲線で、花のずいが長くのびたように出来ている。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
烟りは椿つばきはなびらずいからまつてたゞよふ程濃く出た。それをしろ敷布しきふうへに置くと、立ちがつて風呂場ふろばへ行つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その玉のような白い花は、御釈迦様の御足おみあしのまわりに、ゆらゆらうてなを動かして、そのまん中にある金色のずいからは、何とも云えないい匂が、絶間たえまなくあたりへあふれて居ります。
蜘蛛の糸 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
元来花托とは花梗かこうの頂端で萼、花弁、雄ずい、雌蕊の出発しているところではないのか。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
ずいまで見えるし触れてゆくので、Xなど今まで心づきもせず、思いもしなかった自分を発見している有様です。
けむりは椿のはなびらずいからまって漂う程濃く出た。それを白い敷布の上に置くと、立ち上がって風呂場へ行った。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
池の中に咲いているはすの花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色きんいろずいからは、何とも云えないにおいが、絶間たえまなくあたりへあふれて居ります。極楽は丁度朝なのでございましょう。
蜘蛛の糸 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
たとえば天をはばからず地を憚からぬ山の、無頓着むとんじゃくそびえて、面白からぬと云わんよりは、美くしく思えぬ感じである。星からつる露を、ずいに受けて、可憐のはなびらを、折々は、風の音信たよりと小川へ流す。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しぶとさは人間の発育のずいを止めるものでありますから。