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蒼穹
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そうきゅう
ふりがな文庫
“
蒼穹
(
そうきゅう
)” の例文
長い年月を
隔
(
へだ
)
てて振り返って見ると、かえってこのだらしなく尾を
蒼穹
(
そうきゅう
)
の奥に隠してしまった経歴の方が興味の多いように思われる。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
駿河のくにへはいったのは十月はじめのよく晴れた日で、すでに雪を冠った富士山が、
蒼穹
(
そうきゅう
)
をぬいてかっきりと
聳
(
そび
)
えたっているのがみえた。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
花は
蒼穹
(
そうきゅう
)
を呼吸し、自動車は薫風をつんざいて走り、自動車に犬が吠え、犬は
白衣
(
びゃくえ
)
の佳人がパラソルを傾けて叱り、そのぱらそるに——やっぱり日光がそそぐ。
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
上の方の
崖
(
がけ
)
ぎわの雑木に
茱萸
(
ぐみ
)
が成っていて、
萩
(
はぎ
)
や
薄
(
すすき
)
が
生
(
お
)
い茂っていた。潮の音も遠くはなかった。松の枝葉を
洩
(
も
)
れる
蒼穹
(
そうきゅう
)
も、都に見られない清さを
湛
(
たた
)
えていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
あのように純一な、こだわらず、
蒼穹
(
そうきゅう
)
にもとどく程の全国民の歓喜と感謝の声を聞く事は、これからは、なかなかむずかしいだろうと思われる。願わくは、いま一度。
一灯
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
が、そこに新生した
蒼穹
(
そうきゅう
)
は、全く旧態をやぶったすがただった。
白髪白髯
(
はくはつはくぜん
)
の博識たちがあっとおどろいているうちに、山から山へ、いつの間にか脈々たる
黄道
(
こうどう
)
の
虹
(
にじ
)
が横たわっていた。
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
蒼穹
(
そうきゅう
)
を、あの永遠の
唖
(
おし
)
の少女の、美しい瞳を仰ごう。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
あの
蒼穹
(
そうきゅう
)
の彼方へ
距
(
さ
)
りゆくのだ
先駆者
(新字新仮名)
/
中山啓
(著)
その隣には寂光院の
屋根瓦
(
やねがわら
)
が同じくこの
蒼穹
(
そうきゅう
)
の一部を横に
劃
(
かく
)
して、何十万枚重なったものか黒々と
鱗
(
うろこ
)
のごとく、暖かき日影を射返している。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いや、平面と呼ぶべくそれはあまりにでこぼこして、汽車を迎えるために
撒
(
ま
)
かれた小さな水たまりが、
藁屑
(
わらくず
)
と
露西亜
(
ロシア
)
女の唾と、
蒼穹
(
そうきゅう
)
を去来する
白雲
(
はくうん
)
の一片とをうかべているだけだった。
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
この雑誌の読者は、すべてこれから文学を試み、天下に名を成そうという
謂
(
い
)
わば青雲の志を持って居られる。いささかの卑屈もない。肩を張って
蒼穹
(
そうきゅう
)
を仰いでいる。傷一つ受けていない。無染である。
困惑の弁
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
歓声、灼熱、
陽炎
(
かげろう
)
、
蒼穹
(
そうきゅう
)
。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
蒼
漢検準1級
部首:⾋
13画
穹
漢検1級
部首:⽳
8画
“蒼”で始まる語句
蒼
蒼白
蒼空
蒼蠅
蒼黒
蒼褪
蒼然
蒼々
蒼味
蒼茫