若干そこばく)” の例文
然れども本年は最初たるを以て、樽川の収入にて若干そこばくの予定を※ずるを補わんが為めにて、决して焦眉の急を防ぐの為めにはあらざるなり。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
大喜おほよろこびで、其禮そのれいに、若干そこばく銀貨ぎんくわあたへやうとしたが、如何どうしてもらぬ。しひらしめたら、今度こんど重箱ぢうばこ味噌漬みそづけれてつてれた。
こは教法集の序詞に「かの貧しき女の如く、我等の貧窮の中より若干そこばくの財を主に獻げんと」云々とあるに因みてなりといふ
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
孤堂先生は右の手に若干そこばくの銀貨を握って、へぎおりを取る左とかえに出す。御茶は部屋のなかで娘がいでいる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ある伯爵家の裏門の前で俥を停めさせて、若干そこばくの代を取らすや否や周章あわてて潜門くぐりの奥深く消えたという新聞は尋常事ただごとならず思われて、噂は忽ち八方に広がった。
別れに臨んで今まで私が文典の講義をしたお礼として主僧から十タンガーその他の人々も感心な巡礼のラマであるといって若干そこばくの金をくれて敬意を表せられたです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ただ津軽家の秘方ひほう一粒金丹いちりゅうきんたんというものを製して売ることを許されていたので、若干そこばくの利益はあった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
結納ゆひのうの品々つらする者、雑誌など読みもて行く者、五人の子を数珠繋ずずつなぎにして勧工場かんこうばる者、彼等はおのおの若干そこばくの得たるところ有りて、如此かくのごとく自ら足れりとるにかあらん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼が浪士どもに分配するために、軍用金の中から若干そこばくの金をたずさえて行ったことはいうまでもない。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
遣しかためさせ外九口へは是又人數若干そこばく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
昇りて久しからざるに、彼は早くもその大いなる徳をもて地に若干そこばくの勵みを覺えしむ 五五—五七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
故国へ始めての消息 そこでインドのダージリンのチャンドラ・ダース師へ出す手紙の中へ日本へ送る手紙を封じ込んで確かに封をして、その男に若干そこばくの金を与えて出して貰うことにしました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)