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艱
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なや
ふりがな文庫
“
艱
(
なや
)” の例文
唯ひとり、揺籃の底に
艱
(
なや
)
むでゐる己の額に、やがては稲妻も十字を投げるだらうか。いま一筋荒々しく乗りこんでくる歌声をきかう。
逸見猶吉詩集
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
さては奇特の人ありけり、これもこれ
艱
(
なや
)
み多き世路をすくわん菩提心の一つ、暫く御報謝にありつかんと、与八は戸を押してみると、
容易
(
たやす
)
くあいた。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかし此資料はわたくしをして頗る整理に
艱
(
なや
)
ましめる。わたくしは已むことを得ずして一種の序次なき序次を立てた。そして先づ年中行事より筆を著ける。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
が、二葉亭の一生はこれらの二君に比べると更に一層意味のある近代的の悶えと
艱
(
なや
)
みの歴史であった。
二葉亭四迷:――遺稿を整理して――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
また秀吉の時代に切った吉野川は昔は大阪の裏を流れておって人民を
艱
(
なや
)
ましたのを、堺と住吉の間に
開鑿
(
かいさく
)
しまして、それがために大和川の水害というものがなくなって
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
▼ もっと見る
恃
(
たの
)
みは妻子にあらずして、
寄辺
(
よるべ
)
は父母にあらぬなり、何かの
艱
(
なや
)
みを忍びつつ、
成功
(
いさお
)
に進む我が心
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
いま
俄
(
にわ
)
かに、そなたが動き出したら、抜目のない三斎、何となく危さを感じて、他国者なぞ、身近く寄せるようなことはせなくなるぞ。まず、じっと
怺
(
こら
)
えて、存分に彼等を
艱
(
なや
)
ます策を
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
窮屈げに
艱
(
なや
)
んでいるのを、まだ不審がる気か。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
こういう家庭に
関聯
(
かんれん
)
した道徳上及び物質上の難関に
苦
(
くるし
)
みつつある一方には硯友社よりはむしろ『文学界』同人と
親
(
したし
)
んで生に
悶
(
もだ
)
ゆる詩人の
艱
(
なや
)
みに共鳴し、一方にはまた
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
少し目の慣れるまで、歩き
艱
(
なや
)
んだ
夕闇
(
ゆうやみ
)
の田圃道には、
道端
(
みちばた
)
の草の蔭で
蛼
(
こおろぎ
)
が
微
(
かす
)
かに鳴き出していた。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
シナ兵の中には
痩
(
や
)
せた青い顔をして居る奴が随分多い。チベット兵士にはそんなのは少ないがしかし気概は持って居らない。これは大方収入が少なくて
活計向
(
くらしむき
)
に心を
艱
(
なや
)
ますからであろうと思われる。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
冷かに、糾紛せる霊の
艱
(
なや
)
める
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
秩禄二百俵、役料二百俵、合計四百俵の収入があつたのに、屡財政に
艱
(
なや
)
むことがあつたらしい。此の如き時、先生は金を借りた。しかし期に至つて還すことをば怠らなかつた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
かつこの自伝の断片は明治二十二年ごろの手記であるが、自ら「当時の余の心状は卑劣なりしなり」と明らさまに書く処に二葉亭の一生
鞭撻
(
べんたつ
)
してやまなかった心の
艱
(
なや
)
みが見えておる。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
茶山は
端
(
はし
)
なく、漸く江戸に馴れて移住してもよいと云ふ河崎
良佐
(
りやうさ
)
と、猶江戸を畏れつゝ往反に
艱
(
なや
)
む老を歎く自己とを比較して見た。そして到底
奈何
(
いかん
)
ともすべからずと云ふに
畢
(
をは
)
つた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
艱
漢検1級
部首:⾉
17画
“艱”を含む語句
艱難
苦艱
大苦艱
艱苦
艱難辛苦
辛苦艱難
御艱難
人痛嶮艱
時艱
大艱難
多艱
艱難困苦
艱難苦労
艱険
艱酸
万艱
艱行苦行
艱苦迫害
艱苦辛酸
隠忍艱苦
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