腰部ようぶ)” の例文
彼をかつせしいかりに任せて、なかば起したりしたいを投倒せば、腰部ようぶ創所きずしよを強くてて、得堪えたへずうめき苦むを、不意なりければ満枝はことまどひて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
上塗うわぬりをせぬ土蔵どぞう腰部ようぶ幾個いくつあながあって、孔から一々縄が下って居る。其縄の一つが動く様なので、眼をとめて見ると、其縄は蛇だった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それは石灰粉が毛根に付くと、毛が固まるからだそうで、胸とか腰部ようぶを見なければ、男女の差は殆んどわからなかった。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
生理的からても、女の肉体は男より支持力にえがたい、乳房の重み、腰部ようぶ豊満ほうまん、腹部も男より複雑であります。
女性の不平とよろこび (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
どの様な美女の腰部ようぶの曲線も、或はどの様な彫刻家の創作も、この世界の曲線美には比べることが出来ません。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
まだ扉のハンドルをはずさないうちに、背中から腰部ようぶへかけて、蜂の巣のように銃弾の穴があけられること間違いがないのであったが、金博士には、それが一向筋道どおりはこばない。
その小さく肥えた肉躰は、乳房と腰部ようぶだけが発達し、そこだけが生きて動いているようにみえた。脂肪でひだのできたまるい腹。骨盤の極端なひろがり。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ガラス箱の中には、等身大の若い女が、腰部ようぶを白布におおわれて、全裸の姿をさらしていた。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そして彼女たちは、腰部ようぶ前面のる部分をひたひたと手でたたく、という場面は極めて尋常に見ることができた。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)