繰廻くりまわ)” の例文
何の必要もないのにそういう世帯の繰廻くりまわしを誰にでも吹聴ふいちょうするのが沼南の一癖であった。
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
三十ゑんどりの會社員くわいしやゐんつま此形粧このげうそうにて繰廻くりまわしゆくいゑうちおもへば此女このをんな小利口こりこう才覺さいかくひとつにて、良人おつとはくひかつてゆるやららねども、失敬しつけいなは野澤桂次のざわけいじといふ見事みごと立派りつぱ名前なまへあるをとこ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お神さん一人で繰廻くりまわしているようだったが、快活で、腹の大きい人で、少し居馴染いなじんだ者には、一月二月下宿料がとどこおっても、宜しゅうございます、御都合のい時で、といってビリビリしない。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
それよりは客扱い——ひげえた七難しちむつかしい軍人でも、訳の解らない田舎のばあさんでも、一視同仁に手の中に丸め込む客扱いと、商売上の繰廻くりまわしをグングン押切って奮闘する勝気かちきが必要なんだが
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)