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紫立
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むらさきだ
瞬間、島の
青柳に銀の影が、パツと
映して、
魚は
紫立つたる
鱗を、
冴えた
金色に輝かしつゝ
颯と
刎ねたのが、
飜然と宙を
躍つて、船の中へ
堂と落ちた。
其時、水がドブンと鳴つた。
あの
空が
紫立つてほんのり
桃色に
薄く
見えべい。——
麻袋には
昼飯の
握つた
奴、
余るほど
詰めて
置く、ちやうど
僥幸、
山の
芋を
穿つて
横噛りでも
一日二日は
凌げるだ。
遣りからかせ、さあ、ござい。