純粋じゅんすい)” の例文
旧字:純粹
勝負の面白さが、純粋じゅんすいに勝負だけの面白さで、その時には、恋も、コオチャアも、女も、利害も、過去も未来もなかったのです。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
死に至るまでかわらなかった・極端きょくたんに求むる所の無い・純粋じゅんすいな敬愛の情だけが、この男を師の傍に引留めたのである。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「ああ、これでもテリヤなんだ、純粋じゅんすいじゃないけど。」と、たけちゃんは、ペスのあたまをなでていいました。
さか立ち小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
何か日本に固有こゆうな思想が一つでもありはせぬかと、の目たかの目で、本邦ほんぽうの制度やら歴史やらを調べると、神道しんとうだけは純粋じゅんすいなる大和やまと民族の思想であることがわかる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
たまに正直な純粋じゅんすいな人を見ると、っちゃんだの小僧こぞうだのと難癖なんくせをつけて軽蔑けいべつする。それじゃ小学校や中学校でうそをつくな、正直にしろと倫理りんりの先生が教えない方がいい。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いよいよ確信をたというものの、もしまちがえば他人ひとさまの子を犠牲ぎせいにしなければなりませんから、そのときのジェンナーの祈りこそは純粋じゅんすいなものであったにちがいありません。
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
純粋じゅんすいのフランスじんすじをうけたひとで、するどい知力ちりょくをもっています。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
純粋じゅんすい感謝かんしゃの念のこもったおじぎを一つボクリとして引退ひきさがってしまった。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
原始的な風景というより風景の純粋じゅんすいさといった感銘かんめいがふかく、ながく心に残っています。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
原色げんしょくだけを使つかっていてみたが、純粋じゅんすいで、あかるい、きなかんじがせた。」
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)