)” の例文
からだて頂をし、もって万一に報ずるを思わず、かえって胸臆きょうおくほしいままにし、ほしいままに威福をす。死すべきの罪、髪をきて数えがたし。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
有信はかくの如く志を遂げて、能く一家のもとゐを成したが、其「弟」に長左衛門と云ふものがあつた。遊惰にして財をし、しば/\謀書謀判のとがを犯し、兄有信をして賠償せしめた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
彼は襄陽じょうようを立つときから、主君の眷属けんぞく二十余人とその従者や——わけてもかん夫人だの、夫人だの、また幼主阿斗あとなどの守護をいいつけられていたので、その責任の重大を深く感じていた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
財をし兵を損して而して功無きものは国に謀臣無きに近しとなし、願わくは斉王をゆるし、湘王をほうじ、周王を京師けいしかえし、諸王世子せいしをして書を持し燕に勧め、干戈かんかめ、親戚しんせきあつうしたまえ
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「かかる難儀な目にお遭わせ申しましたのも、まったく臣の不つつかが致したこと、何とぞおこらえくださいまし。してしてまた、夫人と阿斗の君のお二方には、何処においで遊ばしますか」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甘夫人も、夫人も、珠簾しゅれんのうちに伏しまろんで、声を放って泣き悲しんだ。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)