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粗壁
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あらかべ
ふりがな文庫
“
粗壁
(
あらかべ
)” の例文
寝間の
粗壁
(
あらかべ
)
を切抜いて形ばかりの明り取りをつけ、藁と
薄縁
(
うすべり
)
を敷いたうす暗い書斎に、彼は金城鉄壁の思いかで、
籠
(
こも
)
っていた。
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
というよりは
寧
(
むし
)
ろ
粗壁
(
あらかべ
)
のままで——ちょうど今時、
屯田兵
(
とんでんへい
)
の宿舎や、ドイツ人の移民の住居に建てられているような家だ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
壁と言ったところでほんの
粗壁
(
あらかべ
)
、竹張の骨へ
葦
(
あし
)
を渡して土をぶつけただけでまだ下塗りさえ往っていないのだが、武家長屋の外壁だから分が厚い。
釘抜藤吉捕物覚書:09 怨霊首人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
裏門を過ぎると、すこし
田圃
(
たんぼ
)
があって、そのまわりに黄いろい
粗壁
(
あらかべ
)
の農家が数軒かたまっている。それが
五条
(
ごじょう
)
という床しい
字名
(
あざな
)
の残っている小さな部落だ。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
粗壁
(
あらかべ
)
へ
守宮
(
やもり
)
のように背中を張り付け、正面に、梁から、ダラリと人形芝居の人形のように下がり、尚グルグルと廻っている、典膳とお浦との体の横手から、
恐
(
こわ
)
そうに頼母を見詰めた。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
虫の啼く、
粗壁
(
あらかべ
)
の出た、今一軒の家には老夫婦が住んでいた。
爺
(
じじい
)
は
老耄
(
ろうもう
)
して、
媼
(
ばばあ
)
は頭が真白であった。一人の息子が、町の時計屋に奉公していて、毎月、少しばかりの金を送って
寄来
(
よこ
)
した。
僧
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
室町
(
むろまち
)
以来、一戦また一戦あるごとに、
夥
(
おびただ
)
しい不純が純の中へ割りこんで来て農村の姿を
殺伐化
(
さつばつか
)
したが、その
荒
(
すさ
)
びきった時流の底にも、古来からの農は、依然
粗壁
(
あらかべ
)
の中に貧しい燈を細々ととぼして
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
廂ふかく陽の照るとなき
粗壁
(
あらかべ
)
の枯桑のかげは映るともなき
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
上塗りのしてない
粗壁
(
あらかべ
)
は割れたり落ちたりして、外の明りが自由に通っている。
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
粗壁
(
あらかべ
)
に影して低き草庇いまも山家は貧しかるなり
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
粗壁
(
あらかべ
)
とひとつの
切窓
(
きりまど
)
があるだけだった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
粗
常用漢字
中学
部首:⽶
11画
壁
常用漢字
中学
部首:⼟
16画
“粗”で始まる語句
粗
粗忽
粗末
粗相
粗朶
粗笨
粗雑
粗略
粗漏
粗野