竜王りゅうおう)” の例文
旧字:龍王
それはなんでもさるりそうなことをって、竜王りゅうおうさまの御殿ごてんのりっぱで、うまいもののたくさんあるはなしをして、さるたがるようなはなしをするのさ。
くらげのお使い (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「うん。」藤吉はわれに返ったように、「下手の考え休みに到る、か。」と、ぱちりと置く竜王りゅうおうの一手。
おどすやら、すかすやら、いろいろ手を尽して桜井へ帰って貰おうと致しましたが、叔母は、『わしもこの年じゃで、竜王りゅうおうの御姿をたった一目拝みさえすれば、もう往生しても本望じゃ。』
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
住吉すみよし御社みやしろのほうへ向いてこう叫ぶ人々はさまざまの願を立てた。また竜王りゅうおうをはじめ大海の諸神にも源氏は願を立てた。いよいよ雷鳴ははげしくとどろいて源氏の居間に続いた廊へ落雷した。
源氏物語:13 明石 (新字新仮名) / 紫式部(著)
わたしはくらげといって竜王りゅうおう御家来ごけらいさ。今日きょうはあんまりお天気てんきがいいので、うかうかこのへんまであそびにたのですが、なるほどこのさるしまはいいところですね。
くらげのお使い (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
さめた時に源氏は驚きながら、それではあの暴風雨も海の竜王りゅうおうが美しい人間に心をかれて自分に見入っての仕業しわざであったと気がついてみると、恐ろしくてこの家にいることが堪えられなくなった。
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
あるとき竜王りゅうおうのおきさきが、ふとしたことからたいそうおも病気びょうきになりました。いろいろにをつくして、くすりというくすりをのんでみましたが、ちっともきめがありません。
くらげのお使い (新字新仮名) / 楠山正雄(著)