突出つきだし)” の例文
三代目小稲と称していたのは前の小稲の突出つきだし右近である。香以は玄魚と魯文との相方あいかたを極めさせ、自分は有中、米八を連れて辞し去った。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
前へ突出つきだしたり後へ引たり爾々そう/\つまり二本一緒の毛へよりを掛たり戻したりするのですソレ奇妙でしょう二本の毛が次第/\に右と左へズリ抜るでしょう丁度二ひきの鰻を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
中には玉蜀黍とうもろこしを焼いて出すもあり、握飯の菜には昆布こぶふなの煮付を突出つきだしに載せて売りました。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
突出つきだしの初日からなんすれば、何も障りがなくって宜しい、其の時にはそれはまた心得て居やす
突出つきだしひさしに額を打たれ、忍返しのびがえしの釘に眼を刺され、かっと血とともに総身そうしんが熱く、たちまち、罪ある蛇になって、攀上よじのぼる石段は、お七が火の見を駆上った思いがして、こうべす太陽は
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ふく物事ものごと柔和やはらかにして名にし負ふ大和詞なればひとあいありて朋輩ほうばいの中もむつましく怜悧れいりゆゑわづかの中に廓言葉さとことばそと八文字の踏樣迄ふみやうまでも覺えしかば松葉屋の喜悦よろこび大方ならず近き中に突出つきだしにせんとて名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この時司の禿かぶろであった娘が、浜照はまてるという名で、来月突出つきだしになることになっていた。栄次郎は浜照の客になって、前よりもさかんあそびをしはじめた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)