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空罎
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あきびん
ふりがな文庫
“
空罎
(
あきびん
)” の例文
ビールの
空罎
(
あきびん
)
に入れられた麦湯が古い
井字形
(
せいじがた
)
の井戸に細い綱でつるして冷やされてあった。井戸側には大きな葉の草がゴチャゴチャ
生
(
は
)
えている。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
すると勝手の方で
婆
(
ばあ
)
さんの声がした。それから牛乳配達が
空罎
(
あきびん
)
を鳴らして急ぎ足に出て行った。
宅
(
うち
)
のうちが静かなので、鋭どい代助の聴神経には善く
応
(
こた
)
えた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
おまけにだれが投げるのか、サイダアの
空罎
(
あきびん
)
や石ころやかじりかけの
胡瓜
(
きゅうり
)
さえ降ってくるのです。
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
壁には
髯
(
ひげ
)
がはえていて、
玻璃器
(
はりき
)
の代わりには
空罎
(
あきびん
)
が並んでおり、窓掛けの代わりには蜘蛛の巣が張っているような、恐ろしい古いきたないじめじめした
窖
(
あなぐら
)
のような所で
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
帽子も冠らずにいるその娘は画室の
内
(
なか
)
の様子を見て直にも立去ろうとしたが、それを岡が呼留めた。岡は部屋の片隅から
空罎
(
あきびん
)
を探して来て、ビイルを買うことをその娘に頼んだ。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
お袋は土間へ降りてビールや正宗の
空罎
(
あきびん
)
を、物置へしまい込んでいるお庄の側へ来て
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
という訳は、私が耳を傾けている間にさえ、その中の一人が、酔っ払った叫び声をあげながら、船尾の窓を
開
(
あ
)
けて何かを
抛
(
ほう
)
り出したが、それを私は
空罎
(
あきびん
)
だろうと判断したからである。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
自分で上等も無いもんですが、先日上京した時、銀座の
亀屋
(
かめや
)
へ行って最上のを
呉
(
く
)
れろと
内証
(
ないしょう
)
で三本
買
(
かっ
)
て来て
此処
(
ここ
)
へ
匿
(
かく
)
して置いたのです、一本は
最早
(
もう
)
たいらげて
空罎
(
あきびん
)
は
滑川
(
なめりがわ
)
に投げ込みました。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「毛唐の飲みからしの
空罎
(
あきびん
)
なんぞを拾って、何になさる」
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
りっぱな蜘蛛の巣が一つ、まっ黒に大きくひろげられ蠅の死体で飾られて、窓ガラスの上に車輪のようにかかっていた。室は狭くて天井も低く、一隅には
空罎
(
あきびん
)
が積まれていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
一面に真白に塗って、
鉱金
(
めつき
)
で玉縁にしてある隔壁には、きたない手の痕がついていた。何ダースというたくさんの
空罎
(
あきびん
)
が、船の揺れ動くのにつれて、隅で一緒にがちゃがちゃ音を立てていた。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
あの謀叛以来一度も洗ったことのない甲板の板には、たくさんの足跡がついていた。そして、頸のところを叩き割られた
空罎
(
あきびん
)
が一本、排水孔の中を生きているもののようにあちこちと転がっていた。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
バスクは
空罎
(
あきびん
)
を取り除け、ニコレットは
蜘蛛
(
くも
)
の巣を払った。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
空
常用漢字
小1
部首:⽳
8画
罎
漢検1級
部首:⽸
22画
“空”で始まる語句
空
空地
空虚
空想
空洞
空腹
空家
空気
空嘯
空手