破隙われめ)” の例文
衣服きものを剥がれたので痩肱やせひじこぶを立てているかきこずえには冷笑あざわらい顔の月が掛かり、青白くえわたッた地面には小枝さえだの影が破隙われめを作る。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
魚沼郡うをぬまこほり清水しみづ村のおくに山あり、高さ一里あまり、周囲めぐりも一里あまり也。山中すべて大小の破隙われめあるを以て山の名とす。
おもふに此山なかばより上は岩をほねとしてにくつちうす地脉ちみやく気をつうじて破隙われめをなすにや、天地妙々の奇工きこう思量はかりしるべからず。
熊はいでずして一山の破隙われめこゝかしこよりけふりをいだしてくもおこるごとくなりければ、奇異きいのおもひをなし熊をからずしてむなしく立かへりしと清水村の農夫のうふかたりぬ。