トップ
>
瞠
>
みひら
ふりがな文庫
“
瞠
(
みひら
)” の例文
日頃の柔和さとはガラリ変った態度、色白の顔にほんのり血の気がさして、大きく
瞠
(
みひら
)
いた
双眸
(
そうぼう
)
には犯し難い威力と殺気が
閃
(
ひら
)
めいていた。
入婿十万両
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
広く
瞠
(
みひら
)
いた瞳の中から、彼女の感情が皆んな消えて行ってしまったように、無表情な彼女の顔。白々しい仮面のような彼女の顔。
橋
(新字新仮名)
/
池谷信三郎
(著)
けれども、その内心の動搖や昂奮は、その眼が
忙
(
せは
)
しくきら/\と光つたり、落着きなく
瞠
(
みひら
)
かれたりする間に現はれてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
春日新九郎は、何の
機会
(
はずみ
)
かぽかりと眼を開いた——そしてその瞳をだんだん大きく
瞠
(
みひら
)
いていた。瞬きもせずに——
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中庭を黒く渡る風の音を聴きながら、深夜の荒涼たる部屋のなかで凝然として力のない眼を
瞠
(
みひら
)
いていたという。
道
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
▼ もっと見る
彼は
愕
(
おどろ
)
いて話を
止
(
や
)
めた。そして両
眼
(
がん
)
を大きく
瞠
(
みひら
)
いた。手に持っているハンカチは次第に桃色から赤に変り、それをかざしていた手も同じ様に赤く染って行った。
赤い手
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして、埃の層が
雪崩
(
なだれ
)
のように
摺
(
ず
)
り落ちた時だった。
噎
(
む
)
っとなって鼻口を覆いながらも
瞠
(
みひら
)
いた一同の眼が、明らかにそれを、像の第一肋骨の上で認めたのであった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
透明なように青白く、全く血の気がなくなってしまっているかと思われるような居士は死んだものの如く静かに
横臥
(
おうが
)
しているのであった。居士は眼を
瞠
(
みひら
)
いて余を見たがものを言わなかった。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
ふだんから色の白い顔が、血のけもないほど蒼くなり、大きく
瞠
(
みひら
)
いている眼は、不安そうに絶えずあたりを見まわすのだった
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
熱心な鳥のやうに眼を
瞠
(
みひら
)
き、始終、どんなに速かな返辭でも足りぬといつた風に、また、他人の胸の中の繪を讀みとらうとしてゐるやうに、落着きを失つてゐる。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
身もだえしながら、キンキンした声で叫び、ふと
瞠
(
みひら
)
いた眼が白かつた。
六白金星
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
小次郎は白く乾いた唇をあけ、空洞のようになった眼を大きく
瞠
(
みひら
)
いたまま
立辣
(
たちすく
)
んでいた。それは痴呆のような顔であった。
松風の門
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
膝がしらが音のするほど震える、両手の拳を
犇
(
ひし
)
と握りながら、彼女は大きく
瞠
(
みひら
)
いた眼で、空の向うを見まもった。
野分
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
意志の強そうな
唇許
(
くちもと
)
と、
睫
(
まつげ
)
のながい、
瞠
(
みひら
)
いたような眼を持っている、体はがっちりとしては見えるが、まだどこやら骨細なので腰に差した大小や、背に
括
(
くく
)
りつけた
旅嚢
(
りょのう
)
が重たげである。
春いくたび
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
恐怖のために顔はひき
歪
(
ゆが
)
み、
双
(
ふた
)
つの眼はとび出すかと疑えるほど大きく
瞠
(
みひら
)
かれていた、その眼で靱負をひたと
覓
(
みつ
)
めながら、おかやは「ああ、ああ」と意味をなさぬ声をあげ、激しく
身悶
(
みもだ
)
えをした。
日本婦道記:二十三年
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
瞠
漢検1級
部首:⽬
16画
“瞠”を含む語句
瞠目
瞠視
瞠若
瞠入
瞠然
瞠合
胸瞠
見瞠