べん)” の例文
そして、階下の一方にうずくまっている捕虜とりこの呂布へ、冷然と一べんを与えると、自身、白門楼の長い石段を降って、——下なる首の座に坐った。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やればできる力をもつてゐながら、なかなかやらうとしない一種の引込思案、乃至は億劫がり、右べん、いづれも、「意志」の栄養不良、動脈硬化、関節不随であります。
曹操は名乗って、彼の忌憚きたんない「曹操評」を聞かしてもらおうと思ったが、子将は、冷たい眼で一べんしたのみで、いやしんでろくに答えてくれない。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、希望したが、劉繇りゅうようはじろりと、一べんしたのみで、「そちにはまだ資格はない」と、一言のもとに退けた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうかといって、いちに集まる物資を見ても、町の文化を一べんしても、物の豊かな点とか民度の高いことでは、西国さいごくの諸城市や港々のほうが、ずんとすぐれておるのだが」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてまず、軽騎の将数十をつれて、敵の陣容を一べんすべく、高地へ馳けのぼって行ったが
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、道誉はむかい合った高氏へ、ちょっと一べんをくれたものの、にんまりともする風ではない。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かくて西平関に着くや、孔明は、直ちに出迎えた馬岱を案内として、高地にのぼり、羗軍の軍容を一べんした。そしてかねて聞く無敵鉄車隊の連陣をながめると、呵々かかと一笑し
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上申じょうしんの書などを一べんするに、汝は元来、宋家そうけ代々の重恩をうけたる家柄の身でありながら、昨年、帝の御命ぎょめいにて、西湖石せいこいしの運搬にあたった折には、途中、船を難破させたのみか
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もちろん、この俺だ」と李逵りきが買って出るのを、宋江は、一べんの下に叱った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
憎悪のほむらを面に燃やして、曹丕は一類を階下にひかせて、一べんをくれるや否
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……兄はすでに群臣の上にある顕然けんぜんたる時の盟主。兄の一指一べんは、世をうごかすものだ。たとえ兄弟はらからなればとて、ゆめれてはならぬ。私の情愛をもって、兄の大志をみだしてはならない。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孔明こうめいの再来とも思えぬ平凡な風采だったので「はて、これもただの田舎武者よ」と、たれの眼も意外らしかったし、やがてまた、山上の行宮における拝謁のゆかでも、公卿たちの一べんは、あきらかに
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玄徳はその切れ長いまなじりから彼を一べんして、むしろ叱るが如くいった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところへ、各人の卓へ、庖人ほうじんが魚のなますを供えた。左慈は、一べんして
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孔明は、車上、一べんを投げて
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孔明は、車から一べんして
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
曹操は、一べんをくれて
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)