ちよく)” の例文
若しちよくにしてなく、はんにしてれいならずんば、又是病なり。故に質を存せんと欲する者は先づすべからく理径明透して識量宏遠なるべし。
文芸鑑賞講座 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
貴樣きさま等は書物のむしに成つてはならぬぞ。春日かすがは至つてちよくな人で、從つて平生もげんな人である。貴樣等修業に丁度ちやうど宜しい。
遺教 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
四年には瑞長の長男敬太郎ちよくが生れた。「天保四癸巳四月二日誕生、母青木氏女」と云つてある。瑞英の初孫である。此年瑞英四十七歳であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「何んと言つても、親分と面と向つちや、頼み憎いんでせうよ。其處へ行くとあつしなんか人間がちよくだから、金を貸せと言へばハイ、情夫いろになつてくれと言へばハイ」
尾藤孝肇びとうかうてう曰ふ、律義りちぎとはけだちよくにして信あるを謂ふと。余謂ふ、孤城をえんなきに守るは、谷中將の如くば可なりと。嗚呼中將は忠且つ勇なり、而して孝其のうちに在り。
かのさびしき惣社の村より ちよくとして前橋の町に通ずるならん。
此日津軽家隠居附たるを以て柳島の下屋敷にちよくしてゐて遭難したのである。隠居は出羽守信順のぶゆきである。渡辺は弘前人の江戸にあつて此地震に死した三人中の一人であつたと云ふ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ちよくとして市街に通ずるならん。