目代もくだい)” の例文
国司の遥任えうにんが盛んに行はれ、(遥任とは、国守に任ぜらるゝも、自らは任国に赴かず、目代もくだいを差遣して政務に当らしめるものである)
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
見いだし且つは其所の役人自然しぜん私欲しよくすぢ等之れあり下々の者難澁なんじふ致す向もあらば夫々御糺明きうめい仰付おほせつけらるゝ御趣意しゆいなり依て上樣御目代もくだいとの仰を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
妙 宍戸の松平の殿様が水戸様の御目代もくだいで湊の方へ御乗出しだと言います。それに加勢に行くのかしら……。あのう、仙太郎さんは、どこへ?
天狗外伝 斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
すると玉王の五歳の時、国の目代もくだいがこのことを聞いて、自分も子がないために、無理に取り上げて自分の手もとに置いた。
松坂では殿町に目代もくだい岩橋某と云うものがいて、九郎右衛門等の言うことを親切に聞き取って、綿密な調べをしてくれた。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
迎えの灯と、列の灯とが合流して、目代もくだい邸のほうへ押流れた。寺でも神社でも、かがりいていた。どこかで、鈴や笛や鉦鼓しょうこなどのがくが遠く聞えていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かく一藩が党派を分かち、争闘を事とし、しばらくも鎮静する時のなかったため、松平大炊頭おおいのかみ宍戸侯ししどこう)は藩主の目代もくだいとして、八月十日に水戸の吉田に着いた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お妙 宍戸の松平の殿様が水戸様の御目代もくだいで湊の方へお乗出しだといいます。それに加勢に行くのかしら。……あのう、仙太郎さんは、どこへ?
斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
さる八月十七日、伊豆国の流人前右兵衛佐頼朝、しゅうとの北条四郎時政を味方に引き入れ、伊豆国の目代もくだい和泉判官兼隆いずみのはんがんかねたか八牧やまきの館に夜討かけ討ち果しました。
どこかでさかんな矢うなりがする。ここへも姿を見せない郎党たちが、はや射返しているのだなと知ると、兼隆は、一族の上にありまた、六波羅の目代もくだいという職にある自分の重責を胸によび起していた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここの目代もくだいは紀伊刑部大夫通資みちすけという者であったが、平家の一行が小舟で海の上に漂っているということを聞くや救いの手をのべた。大船百艘余りを整えると平家に提供した。
諸生組の御家老連またぞうろう首を斬られて水戸へ下って、お世つぎをトッコに取って水戸城籠城と来た、これを抑えにお乗り出しが宍戸の殿様松平頼徳侯、水戸様お目代もくだいとして進発あり。
斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
目代もくだいの山木判官様から、ご書面のお使いでございまするが」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水戸様お目代もくだいとして進発あり。
天狗外伝 斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)