發心ほつしん)” の例文
新字:発心
やがては墨染にかへぬべき袖の色、發心ほつしんは腹からか、坊は親ゆづりの勉強ものあり、性來をとなしきを友達いぶせく思ひて、さま/″\の惡戲をしかけ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
してるとおまへさんがたのおど/\するのは、こゝろ覺束おぼつかないところがあるからで、つみつくつたものえる。懺悔ざんげさつしやい、發心ほつしんして坊主ばうずにでもならつしやい。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
瀧口時頼が發心ほつしんせしと、誰れ言ふとなく大奧おほおくに傳はりて、さなきだに口善惡くちさがなき女房共、寄るとさはると瀧口が噂に、横笛とゞろく胸をおさへて蔭ながら樣子を聞けば
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
五十前後の大入道で、みにくくもあり不氣味でもあります。頭を丸めて居るのは、眼がうとくて一人で髮の始末が出來ないので、發心ほつしんして入道したわけではありません。
なんちゝくさい子供こどもかほ發心ほつしん出來できませう、あそんであそんであそいて、んでんでつくして、いへ稼業かげふもそつちけにはしぽんもたぬやうにつたは一昨々年さきおとゝし
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
樣を變へしとはそも何を觀じての發心ほつしんぞや、憂ひに死せしとはそも誰れにかけたる恨みぞ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「世辭なものか、一體何を發心ほつしんしての紅白粉だ。膽をつぶさせるぜ」