とつく)” の例文
ぢい今朝けさのおまんまつめたくつたつけべわすれてばりにつたのがよ、さうしたらぢいとつくねえのがんだもの
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ハヽヽ、敏捷すばやい/\、流石に源太だは、我の思案より先に身体がとつくに動いて居るなぞは頼母しい、なあにお吉心配する事は無い、十兵衞と御上人様に源太が謝罪わびをしてな
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
蓮華寺の蔵裏くりへ来て、斯う言ひ入れた一人の紳士がある。それは丑松が帰つた翌朝あくるあさのこと。階下したでは最早もうとつく朝飯あさはんを済まして了つたのに、未だ丑松は二階から顔を洗ひに下りて来なかつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「悪いんさ。でなきやトムちやんととつくに来るもの」
女王 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
『左様言はれて見ると、我輩も思当ることが無いでも無い。しかしねえ、もし其が事実だとすれば、今迄知れずに居る筈も無からうぢやないか。最早もうとつくに知れて居さうなものだ——師範校に居る時代に、最早知れて居さうなものだ。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)