番士ばんし)” の例文
どこへでも、一ヵ所、風穴かざあなができて見ろ、こんがりとした二つの骸骨しゃりこうべが、番士ばんしの六しゃくぼうき分けてさがしだされるのはまたたくだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折悪おりあしく一人の宿直士とのい番士ばんしの影も見えぬ。警護の有余ありあまつた御館おやかたではない、分けて黄昏たそがれの、それぞれに立違たちちがつたものと見える。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
詰侍つめざむらい部屋へや長屋ながやにいる常備じょうび武士ぶしを、番士ばんしは声をからして起しまわる。たちまち、ものとってけあつまるてきはかずをすばかり。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
、仰いで見るうちに、数十人の番士ばんし足軽あしがるの左右に平伏ひれふす関の中を、二人何の苦もなく、うかうかと通り抜けた。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
散りぢりにびあい、叫びあいながら、柳姿りゅうし覆面ふくめん三、四十人、すすきとそよぐやいばをさげて、長屋門ながやもん番士ばんしり、いっきに奥へはしりった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「心得ぬことじゃ。番士ばんし!」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)