やしな)” の例文
妻を離別するも可なり、しょうやしなうも可なり、一妾にして足らざれば二妾も可なり、二妾三妾随時随意にこれを取替え引替うるもまた可なり。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
柏軒は後狩谷氏しゆんめとつた。又一せふ佐藤氏春をやしなつてゐた。しかし疎桐の生れたのは狩谷氏の未だ来りせざる前である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
道、これを生じ、これをやしない、これを長じ、これを育て、これを成し、これを熟し、これを養い、これを
神祇正道に於ては、牛馬犬猿雞は人にやしなはれ、人の用をなす故に、継ぎて産死の穢あり(中略)。
徒ニ遺産ヲ費シ安然トシテ妻子ヲやしなフ。文子ノイハユル孝ハ妻子ニ衰フモノトハ僕ノ謂歟いいか。多罪。野君久シク病ニ伏シ書ヲ賢兄ニおさむルコト能ハズ。僕ニ属シテねんごろニ謝セシム。頓首とんしゅ死罪。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ゆえに明君は民の産を制し、必ず仰いではもって父母につこうまつるに足り、してはもって妻子をやしなうに足り、楽歳には終身飽き、凶年には死亡を免れしめ、しかる後って善にかしむ。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
若敖卒してのち母と共に䢵にやしなわるる間䢵子の女に淫し令尹れいいん子文を生んだ、䢵の夫人これを夢中にてしむると、虎が自分の乳で子文を育った、䢵子かりして見付け惧れ帰ると夫人実を以て告げ
(アクテオンは、希臘の男神の名なり、女神ヂアナを垣間かいま見て、罰のために鹿に變ぜられ、やしなふ所の群犬にまる。)二個の「スフインクス」(女首獅身の石像)を脚としたる大理石の巨卓おほづくゑあり。
ここにおいてかしょうやしなうの風を成したるものの如し。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)