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田圃路
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たんぼみち
ふりがな文庫
“
田圃路
(
たんぼみち
)” の例文
査閲からの帰り路も、誰にも顔を合せられないような肩身のせまい心地で、表の路を避け、裏の
田圃路
(
たんぼみち
)
を顔を伏せて急いで歩いた。
鉄面皮
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
落葉の音にも耳をすまして、澹山はやがて内へ引っ返そうとする時、向うの
田圃路
(
たんぼみち
)
に狐火のような提灯の影が一つぼんやりと浮き出した。
半七捕物帳:33 旅絵師
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
沼にかかった板橋を渡ると、細い
田圃路
(
たんぼみち
)
がうねうねと野に通じて、車をひいて来る百姓の顔は夕日に赤くいろどられて見えた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
子供等と
志村
(
しむら
)
の家へ行った。崖下の
田圃路
(
たんぼみち
)
で南蛮ぎせるという寄生植物を沢山採集した。加藤首相
痼疾
(
こしつ
)
急変して
薨去
(
こうきょ
)
。
震災日記より
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
鶴岡
(
つるおか
)
城下の話であるが、
某
(
ある
)
深更
(
よふけ
)
に一人の武士が
田圃路
(
たんぼみち
)
を通っていると、焔のない
火玉
(
ひのたま
)
がふうわりと眼の前を通った。
鬼火を追う武士
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
当時私の家からまず町らしい町へ出ようとするには、どうしても人気のない
茶畠
(
ちゃばたけ
)
とか、
竹藪
(
たけやぶ
)
とかまたは長い
田圃路
(
たんぼみち
)
とかを通り抜けなければならなかった。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、私は何気なくそう云いながら、先へ立って、横丁を曲って、
田圃路
(
たんぼみち
)
にある踏切を越えるようにしました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
急いで還ろうと飛んで往ったという
田圃路
(
たんぼみち
)
に、安東寺の
字名
(
あざな
)
などが残っており、その時親が
悦
(
よろこ
)
んで
団子
(
だんご
)
を食わせた記念として、毎年同じ日に村では団子祭をするといっている。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
湖水に添って
田圃路
(
たんぼみち
)
を神宮寺村の方へ歩いて行く。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
かの善吉の妹のお徳が兄の寝酒を買いに出た帰り途に、
田圃路
(
たんぼみち
)
で何者にか傷つけられた。善吉と佐兵衛とお徳とは三人の
兄妹
(
きょうだい
)
で、かれはまだ十五の小娘であった。
半七捕物帳:24 小女郎狐
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
阪急の
夙川
(
しゅくがわ
)
の駅で下りて、山手の方へ、ガードをくぐって真っ
直
(
す
)
ぐに五六丁も行くと、別荘街の家並が尽きて
田圃路
(
たんぼみち
)
になり、向うに一とむらの松林のある丘が見えて来る。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
自分達はその掘割に沿うて一二丁右の方へ歩いた
後
(
あと
)
、また左へ切れて
田圃路
(
たんぼみち
)
を横切り始めた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ほろよい機嫌でここらの
田圃路
(
たんぼみち
)
をうろ付いていると、浅黄の手拭に顔をつつんだ一人の女に出逢った。
半七捕物帳:46 十五夜御用心
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今朝はいつもより早く起きて、暑い中を汽車と自動車に半日揺られて、夜になってから又真っ暗な
田圃路
(
たんぼみち
)
を子供達と一緒に元気に
駈
(
か
)
けずり廻ったりして、一里以上も歩いたか知らん。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
長い
田圃路
(
たんぼみち
)
の夜露を踏んで、六三郎は黙って歩きました。ほかの男たちもだまって歩いていました。
子供役者の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
長い
田圃路
(
たんぼみち
)
の真ん中まで来た時には、彼の足もさすがに疲れてすくんで、もう倒れそうになってきたので、彼は路ばたの
地蔵尊
(
じぞうそん
)
の前にべったり坐って、大きい息をしばらく吐いていた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
大門を出ると、路はだんだんに暗くなった。駕籠屋や煮売り酒屋の灯の影がまばらにつづいて、埋立て地を出はずれる頃からは更に暗い
田圃路
(
たんぼみち
)
になった。そこらでは早い蛙が一面に鳴いていた。
半七捕物帳:40 異人の首
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
薄い月がぼんやりと
田圃路
(
たんぼみち
)
を照らして、どこかで蛙の声がきこえます。
探偵夜話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
山を降りると
田圃路
(
たんぼみち
)
で、田の
畔
(
くろ
)
には葉鶏頭の
真紅
(
まっか
)
なのが眼に立った。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
理右衛門は俄かに右へ切れて、
田圃路
(
たんぼみち
)
を足早に立ち去った。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
田
常用漢字
小1
部首:⽥
5画
圃
漢検準1級
部首:⼞
10画
路
常用漢字
小3
部首:⾜
13画
“田圃”で始まる語句
田圃
田圃道
田圃側
田圃径
田圃面
田圃中
田圃伝
田圃向
田圃組
田圃脇