鬼火を追う武士おにびをおうぶし
鶴岡城下の話であるが、某深更に一人の武士が田圃路を通っていると、焔のない火玉がふうわりと眼の前を通った。焔のない火玉は鬼火だと云う事を聞いていた武士は、興味半分に其の後を跟けて往った。 火玉は人間の歩く位の速度でふうわりふうわりと飛んでいた …