“たんぼみち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
田圃道53.4%
田圃路27.4%
田甫道5.5%
田畝道5.5%
田甫路4.1%
田圃径2.7%
田畝路1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
窓の外は同じような田圃道たんぼみちばかりで、おりおりそこに客を載せてゆっくり歩いている人力車なんぞが見える。刈跡から群がって雀が立つ。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
落葉の音にも耳をすまして、澹山はやがて内へ引っ返そうとする時、向うの田圃路たんぼみちに狐火のような提灯の影が一つぼんやりと浮き出した。
半七捕物帳:33 旅絵師 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そんなときの心細さは彼女はひとりで、暗い人通りのない田甫道たんぼみちにしやがんで遠く背いて来た両親の家を思ひ出させたりするやうになつた。
惑ひ (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
雨の日には泥濘でいねいの深い田畝道たんぼみちに古い長靴ながぐつを引きずっていくし、風の吹く朝には帽子を阿弥陀あみだにかぶって塵埃じんあいを避けるようにして通るし、沿道の家々の人は、遠くからその姿を見知って
少女病 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
脱いだ足袋を自分で持って、裾をからげながら田甫路たんぼみちを歩いた。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
聞えないかの低い声で鼻唄はなうたをうたいながら歩いている源吉爺さんを先達せんだつにして、トヨは毎日の道順にしたがい、のきの傾いた商家がたち並んでいる広い村道から、ほこりっぽい田圃径たんぼみちへと通り抜けてゆく。
南方郵信 (新字新仮名) / 中村地平(著)
春の山——と、優に大きく、申出もうしいでるほどの事ではない。われら式のぶらぶらあるき、彼岸ひがんもはやくすぎた、四月上旬の田畝路たんぼみちは、とのぼせるほどあたたかい。
若菜のうち (新字新仮名) / 泉鏡花(著)