産土神うぶすな)” の例文
「うちですか。うちじゃ神殿にして、産土神うぶすなさまを祭っていますよ。毎朝わたしは子供をつれて拝ませに行きますよ。」
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
例へば京阪地方で産兒の宮詣り(男兒は出産後三十一日目女兒は三十日目に産土神うぶすなに健康と幸福をさづかりに來る)
あのお爺様じいさまむかしから産土神うぶすなのお神使つかいとして、あらたに帰幽きゆうしたもの取扱とりあつかうことにかけてはこのうえもなくお上手じょうずで、とてもわたくしなどの足元あしもとにもおよぶことではありませぬ。
方十町に響きて、はじめはその所知れざりしが、次第に近く聞きつけ、その村の産土神うぶすなの森の中なり。折としてかがりを焚くことあり。翌日あけのひ見れば青松、柴の枝、燃えさして境内にあり。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
の、枕直まくらなほしの、宮參みやまいりの、たゞあわたゞしうてぎぬ、かみきつけて産土神うぶすなまへ神鬮みくじやうにしてけば、常盤ときはのまつ、たけ、蓬莱ほうらいの、つる、かめ、ぐりもてずして
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼女は、北の上段のに人を避け、産土神うぶすなさまの祭ってある神殿に隠れて、うす暗くなるまでひとりでそこにすわっていることもある。行くものはさっさと行け。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その廊下は母屋もやの西北にめぐらしてあって、客でも泊める時のほかは使わない奥の間、今は神殿にして産土神うぶすなさまを祭ってある上段の間の方まで続いて行っている。北の坪庭も静かな時だ。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)