猶々なほ/\)” の例文
加ゆると雖も勿々なか/\用ひる面色けしきもなく言ば言程猶々なほ/\つのりて多分の金子をつかすてるにより忠兵衞も持餘せし故國元くにもとへ歸りて母親へ右の段を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
左様さうなると、猶々なほ/\我輩には解釈が付かなくなる。どうも我輩の時代に比べると、瀬川君なぞの考へて居ることは全く違ふやうだ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
この獣のやうなむすめ吩附いひつけて火をけさせるのだから、重右衛門と言ふ事が解つて居ても、それを捕縛するといふ事は出来ず、さればと言つて、娘つ子は敏捷すばしこくつて、捕へる事は猶々なほ/\出来ず
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
『でせう。大変に御成おなんなすつたでせう。ですから猶々なほ/\大切にして下さいと言ふんです。折角せつかく快く成りかけて、逆返ぶりかへしでもしたら——』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
聞かれ夫は奇特きどくなる申ぶん夫さへ得心とくしんせぬは合點がてんゆかぬ奴なり手錠てぢやう申付明日より三日の内に三十兩調達致せと猶々なほ/\嚴敷申渡されけり是ひとへに淡路守殿勘兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
畳の上を通る其足音に妨げられては、猶々なほ/\夢を結ばない。一旦吹消した洋燈を細目にけて、枕頭まくらもとを明くして見た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
出しそれは又何御用なるやと云に家主は大方貴樣の見覺えあるべし今夜などは火事場にてなにはたらきし事あらんと云ば吉五郎は猶々なほ/\驚き否々いへ/\私しに於て然樣さやうなる不埓ふらち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)