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猪突
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ちょとつ
ふりがな文庫
“
猪突
(
ちょとつ
)” の例文
すぐに裏口伝いを
濠
(
ほり
)
に沿って城中へ参向すると、ようやくお目ざめになったばかりの伊豆守に向かって、
猪突
(
ちょとつ
)
に不思議なことを申し入れました。
右門捕物帖:03 血染めの手形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
私はその境地にあって必ず何等かの不満を感ずる。そして一歩を誤れば、その不満を
医
(
いや
)
さんが為めに、
益〻
(
ますます
)
本能の分裂に向って
猪突
(
ちょとつ
)
する。それは危い。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
少い経験にしろ、数の場合にしろ、
旅籠
(
はたご
)
でも料理屋でも、給仕についたものから、こんな素朴な、実直な、しかも要するに
猪突
(
ちょとつ
)
な質問を受けた事はかつてない。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
高徳は前へ
猪突
(
ちょとつ
)
していたのである。だから不意をくった兵のかたまりは二つに割れ、風を持った蓑と剣影が走り抜けたあとには、はや二、三人がぶっ仆れていた。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただクリストフは、左右を顧みず
猪突
(
ちょとつ
)
していた。パリー人の「温情」をことにいらだっていた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
実行家の第一資格たる向う見ずに
猪突
(
ちょとつ
)
する大胆を欠いていた。勢い躍り出すツモリでいても出遅れてしまう。機会は
何度
(
なんたび
)
来ても出足が遅いのでイツモ機会を取逃がしてしまう。
二葉亭追録
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
幸子はこの老婦人にそんな
猪突
(
ちょとつ
)
的な一面があったことを今迄知らなかったのであるが、なるほど、そう云えば、年を取って
尚更
(
なおさら
)
そうなったのかどうか、顔つきにも何処か
権
(
けん
)
があって
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
試験に試験を重ねたタンクが、とつぜん戦線に驚異的に出現して、あの、前世紀動物のような、怪物的な鋼鉄製の巨体をゆるがせて
猪突
(
ちょとつ
)
した時、案に相違して、ドイツ方はあまり
愕
(
おどろ
)
かなかった。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
猪突
(
ちょとつ
)
六分、計画四分という、彼の信条はどこへ行ってしまったのか。
人外魔境:10 地軸二万哩
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
後年彼の思想はドイツの民族主義に
性根
(
しょうね
)
を
据
(
す
)
え、高度の理想主義に発展したが、若かりし頃のワグナーは、当時の改革思想の影響を受けて、新しきものへと
猪突
(
ちょとつ
)
したのはまたやむを
得
(
え
)
ないことである。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
そのことがすでに不思議なところへ、右門はいよいよ不思議なことをおくめんもなくお奉行へ
猪突
(
ちょとつ
)
に申し入れました。
右門捕物帖:02 生首の進物
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
関羽は、八十二斤の青龍刀をひっさげ、あえて、雑兵には眼もくれず、中軍へ
猪突
(
ちょとつ
)
して
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いたって皮肉に言い去ると、あごをなでなでへやの内へ取って返したようでしたが、そこへ伝六が目をぱちくりさせながらやって来たのを見ると、
猪突
(
ちょとつ
)
に命令を発しました。
右門捕物帖:12 毒色のくちびる
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
しかしこれも
秦明
(
しんめい
)
と闘ッて斬られ、第三、第四、と
猪突
(
ちょとつ
)
して出た者までことごとく打ち果たされてゆくのを見ると、高廉はその
青粘土
(
あおねんど
)
のような
面
(
おもて
)
にたちまち
吹墨
(
ふきずみ
)
のような
凄気
(
せいさ
)
を呼んで
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さながらその犯行が伊豆守の帰藩を待つようにして突発したというその二つの点に、ふと大きな疑問がわいてまいりましたものでしたから、右門は
猪突
(
ちょとつ
)
にことばをかけました。
右門捕物帖:03 血染めの手形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
と——今の爆音に気がついて、旋風のごとく、そこへ
猪突
(
ちょとつ
)
してきた者がある。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宰相伊豆守は、かたわらに居流れていた近侍の面々を顧みると、
猪突
(
ちょとつ
)
に命じました。
右門捕物帖:20 千柿の鍔
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
と、明智方の武士へ向って、大刀を抜き、眼をいからして、
猪突
(
ちょとつ
)
して来た。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
六十の小人数ならば裸でも
猪突
(
ちょとつ
)
して行ったかもしれないが、六百の軍なるために、武装をととのえ、隊伍を成し、なまじ軍隊としてうごき出したために、時遅れたのはぜひもないことだった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いうやいな、馬をおどらせて、敵兵の戦列へ
猪突
(
ちょとつ
)
して行ったのだった。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と誓い、
畢生
(
ひっせい
)
の勇猛をふるって、無二無三
猪突
(
ちょとつ
)
してきた矢先である。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「すこし変ですぞ」と、止めたが、趙雲は、
猪突
(
ちょとつ
)
してしまった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秦明の一隊が、
猪突
(
ちょとつ
)
をしめすと。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
猪突
(
ちょとつ
)
して行った。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“猪突”の意味
《名詞》
猪が勢いよく前進するように突進すること。
(出典:Wiktionary)
猪
漢検準1級
部首:⽝
11画
突
常用漢字
中学
部首:⽳
8画
“猪突”で始まる語句
猪突的
猪突者
猪突邁進家