物置ものお)” の例文
夜な夜な、物置ものおきやうまやの中、または青空の下の木のかげにねむったあわれな子どもが、いまは歴史れきし由緒ゆいしょの深い古城こじょうの主人であった。
そのあとで、あには、物置ものお小舎ごやにゆきました。そして、まったくわすれていた、むかし地面じめんにたたきつけたくわを、うすぐらなかからしました。
くわの怒った話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「それは物置ものおきにあるたこでは不十分だ、だがさらに大なる、さらに堅固けんごなものに改造したら、だいじょうぶだと思う」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
源四郎げんしろうはなお屋敷やしきのすみずみの木立こだちのなか垣根かきねのもとから、やほこりのたぐいをはきだしては、物置ものおきのまえなるくりの木のもとでそれをやしている。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
それらは今日こんにちでも田舍ゐなかにおいてかけます物置ものおきとか、肥料入ひりよういれの納家なやのような簡單かんたん小屋こやがありますが、まあ、それとたいした相違そういのない程度ていどのものとおもはれます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
わたしたちは夕食に招待しょうたいされた。そして物置ものおきの中でねむる場所をあたえてもらった。
夜になってわたしたちがきたない宿屋やどやかまたは物置ものお小屋ごやにつかれきってたどり着くと、もうはだまで水がしみ通って、わたしたちはとても笑顔えがおをうかべてねむる元気はなかった。
村で戸を開けているうちはなくって、どこもしんとしずまり返っていた。なにしろ寒気がひどいので、人間はのすみにちぢかまっているか、牛小屋や物置ものお小屋ごやでこそこそ仕事をしていた。
もうこれから先はいつもこんなふうにくらすのだろうか。ざあざあ雨のる中を歩いて、寒さにふるえながら、物置ものおきの中にねて、夕食にはたった一きれのかたパンを分けてもらうだけであろうか。