“牛乳(ちち)” の例文
別荘へは長男(かしら)の童(わらべ)が朝夕二度の牛乳(ちち)を運べば、青年(わかもの)いつしかこの童と親しみ、その後は乳屋(ちちや)の主人(あるじ)とも微笑(ほほえ)みて物語するようになりぬ。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
二三日すると、其父なる人が眼に涙を浮めて、牛乳屋が来たら最早牛乳(ちち)は不用(いらん)と云うてくれと頼みに来た。亡くなったのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
こう言って笑いながら、男の子を戸口の石だんにこしをかけさせて、お牛乳(ちち)を一ぱいと、パンを一きれもって来てくれました。
岡の家 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
「何んと、手この冷えていること! お前のお父さん酷(ひで)えお父さんだな。よしよし、今すぐ牛乳(ちち)のませてやるよ」
凍雲 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
「花に蜜蜂、野には牛乳(ちち)、遠い遠い小亜細亜(アジア)。美しい美しい約束の国、そこへ行かなければなりません」
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「あの、三郎や、牛乳(ちち)の残りがあるから、古いお椀(わん)へ入れて持つておいでよ。」と云ひました。
身代り (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
乾葡萄や黒梅の入つた混成酒(ワレヌーハ)を召しあがつたことがおありかな? それとも、牛乳(ちち)いりの雑炊(プートリャ)を召しあがつたことがおありかな? いやはや、この世の中にはなんと夥しく
あたしにはまたちょいとこの会話(はなし)が分らなくなる。牛乳(ちち)を呑(の)ましてくれる家(うち)の門(かど)に来た。
不自由はさせで育てたしと、思ふに任さぬ身のつまり、牛乳(ちち)買ふ代にも事欠くと、見て取りし梅の、打つて変はりし不愛想、我を婢代はりに使ふさへあるに、果ては我とその夫との間に
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
幅広き谿岨寒し牛乳(ちち)買ひてつらつら戻る夕日の光
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
何時か牛乳(ちち)の時間となりぬれば
寧日 (新字旧仮名) / 山口芳光(著)
山国の冬は来にけり牛乳(ちち)をのむ
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
三合の牛乳(ちち)もある
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
されど物語(はなし)の種(たね)はさまで多からず、牛の事、牛乳(ちち)の事、花客先(とくいさき)のうわさなどに過ぎざりき。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
足を洗(あら)って、体(からだ)を拭いて、上ると八時。近来朝飯ぬきで、十時に牛乳(ちち)一合。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
牛乳(ちち)とりに露の山路(やまじ)を牧場まで
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
牛乳(ちち)が好(す)きなら牛乳(ちち)飮まそ
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
牛乳(ちち)を飲みゐたり。
寧日 (新字旧仮名) / 山口芳光(著)