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炊烟
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すゐえん
夕陽西に傾いて戸々の
炊烟漸く上るの時、一群の村童、奇異の旅客を
纏ふて来る。
昨日仰ぎし
惠那岳は右に、
美濃一國の山々は波濤の打寄するが如く
蜿蜒と
連り
亙りて、低き處には高原を
披き、
凹き處には溪流を
駛らせ、村舍の
炊烟、
市邑の
白堊、その眺望の
廣濶なる
挙ぐれば
中州と
箱崎町の
出端との
間に深く
突入つてゐる堀割は此れを箱崎町の
永久橋または
菖蒲河岸の
女橋から眺めやるに水は
恰も入江の如く無数の荷船は部落の観をなし薄暮風
収まる時
競つて
炊烟を