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溪底
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たにそこ
樵夫を
僦ふて
僕を
索す、
此暗い
溪底に
僕の
死體が
横つて
居る、
東京へ
電報を
打つ、
君か
淡路君か
飛んで
來る、そして
僕は
燒かれてしまう。
天地間最早小山某といふ
畫かきの
書生は
居なくなる! と
僕は
思つた
時、
思はず
足を
止めた。
頭の
上の
眞黒に
繁つた
枝から
水がぼた/\
落ちる、
墓穴のやうな
溪底では
水の
激して
流れる
音が
悽く
響く。