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ゆがはら
湯原の
温泉は
僕になじみの
深い
處であるから、たとひお
絹が
居ないでも
僕に
取つて
興味のない
譯はない、
然し
既にお
絹を
知つた
後の
僕には
小田原から
先は
例の
人車鐵道。
僕は一
時も
早く
湯原へ
着きたいので
好きな
小田原に
半日を
送るほどの
樂も
捨て、
電車から
下りて
晝飯を
終るや
直ぐ
人車に
乘つた。
君も
御存知の
如く
病後、
赤十
字社の
醫者に
勸められて二ヶ
月間此湯原に
滯在して
居た
時である。