清浄しやうじやう)” の例文
旧字:清淨
が、それと同じに、母が——あれほど、自分には優しく、清浄しやうじやうである母が、男に対して、娼婦のやうに、なまめかしく、不誠実であることが、一番悲しかつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
菜食主義者の説によると、かうした人達が偉くなつたのは、平素ふだん血のるやうなけものの肉をかじらないで、清浄しやうじやうな菜食をするからださうだが、それに反対する肉食論者はまた
つめたいつきひかりされて、人目ひとめかゝらぬいしなか封込ふうじこめられた蟾蜍ひきがへるごとく、わがみにく鉱皮くわうひしためられてゐるとき、ほかのひとたちは清浄しやうじやう肉身にくしん上天じやうてんするのだらう。
かねて此の山にみつるとは聞きしかど、まさに其の音を聞きしといふ人もなきに、こよひのやどりまことに五七滅罪生善めつざいしやうぜんしるしなるや。かの鳥は清浄しやうじやうをえらみてすめるよしなり。
無垢むく清浄しやうじやうのしろがね
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
わたしの想像が違つたら、御免下さい。貴女の清浄しやうじやうな純な心に映つた男性をわたしが奪ふと云ふ恐ろしいことをしてゐたのです。美奈さん! 許して下さい。美奈さん。」
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
二人は、夏の夜の清浄しやうじやうな箱根に酔ひながら、可なり長い間橋の欄干に寄り添ひながら、佇んでゐた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)