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淡紅色
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うすべにいろ
蛾たちは、
自分らも
明日立つかどうかということについて、
相談しました。このとき、かわいらしい
淡紅色の
高山植物の
花は
顔をこちらに
向けて
その
広野を
青い
着物をきて、
頭に
淡紅色の
布をかけて、
顔を
隠し、
白い
馬に
乗って
馬子に
引かれながら、とぼとぼと
山の
方を
指してゆく
女がありました。
いつか、
青年が、
行商にきた
時分に
持ってきたような、
青い
貝細工や、
銀のかんざしや、
口紅や、
香油や、そのほか
女たちの
好きそうな
紅い
絹地や、
淡紅色の
布などであったのです。
さながらおせんが
持ってきた、
貝細工のように、
銀のかんざしのように、
紅い
絹を
拡げたように、
淡紅色の
布地を
見るように、それらのものをみんな
大空に
向かって
投げ
撒いたように……。