“波浪(はろう)” の例文
だが、波浪(はろう)は、なんとなしに、怒った表情に見える。船の舳(へさき)を噛(か)む白いしぶきが、いまにも檣のうえまでとびあがりそうに見える。
幽霊船の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
たとえば南洋(なんよう)の蕃地(ばんち)に産(さん)する、華麗(かれい)なちょうのような花(はな)をつけたもの、離(はな)れ島(じま)の波浪(はろう)が寄(よ)せるがけの上(うえ)に、ぶらさがっているという葉(は)の短(みじか)いもの
らんの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これに対して米軍の駆逐艦隊は可也(かなり)高い波浪(はろう)にひるんだものか、それとも長い航洋に疲れを見せたものか、ずっと側面(そくめん)に引返して行った。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
海上はたいへん、なぎわたって、波浪(はろう)も高からず、わりあいしのぎよかったのは、帆村にまだ運のあったせいであろう。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ざざざーッと、いそがしそうに鳴るのは、全速力の哨戒艦が、後へ曳(ひ)く波浪(はろう)のざわめきであろう。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
潜水艦ローン号は、波浪(はろう)とたたかいつつ鉄水母に近づいていった。艦橋には、若いぴちぴちした艦長ザベリン中尉が、すらりと高い長身を、雨がっぱにつつんで立っていた。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
波浪(はろう)に呑(の)まれて沈没してゆく艦艇から立昇る真黒な重油の煙、鼓膜(こまく)に錐(きり)を刺(さ)し透(とお)すような砲声、壁のように眼界を遮(さえぎ)る真黄色の煙幕、——戦闘は刻々に狂乱の度を加えて行った。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
舳(へさき)で切り分ける波浪(はろう)が、たいへん高くのぼって、甲板(かんぱん)の船具を海へ持っていって仕様がないというのであった。そのうちに水夫が三名、船員が一名、その高い浪にさらわれて行方不明となった。