江戸紫えどむらさき)” の例文
その時分に女の子が江戸紫えどむらさきの無地の帯をすることが流行はやつて居たと見えまして、或時二人は自身達の帯の色が同じであることを発見して喜びました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
よく廿にぢう三年の七月になると、妄執まうしうれずして、又々また/\江戸紫えどむらさきふのを出した、これが九号の難関なんくわんへたかと思へば、あはれむべし、としくれ十二号にして、また没落ぼつらく
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
江戸女「薄紫うすむらさきといふやうなあんばいで意気だねえ」上方女「いつかう粋ぢや。こちや江戸紫えどむらさきなら大好だいすき/\」。すなわち、「いき」と「粋」とはこの場合全然同意義である。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
また一面から見れば、門附かどづけ談話はなしの中に、神田辺かんだへんの店で、江戸紫えどむらさきの夜あけがた、小僧がかどいている、納豆なっとうの声がした……のは、その人が生涯の東雲頃しののめごろであったかも知れぬ。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
江戸紫えどむらさきれる。
桜さく島:春のかはたれ (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
江戸紫えどむらさきの日がくれる
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)