永々ながなが)” の例文
悲しくなっちゃう。さっきから、愛国心について永々ながながと説いて聞かせているのだけれど、そんなこと、わかりきっているじゃないか。
女生徒 (新字新仮名) / 太宰治(著)
予が報国の微衷もて永々ながなが紀州のこの田舎で非常の不便を忍び身命を賭して生物調査をし、十四年一日のごとく私財を蕩尽とうじんしてって居るに
「うん……こんな美女たまを龍平の野郎め、よろしく、ひとりで永々ながながと楽しんでいやがったんだから、ああなったのも、男冥利みょうりに尽きたんだろう」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幕府は老中罷免ひめんに対する反抗の意志を上疏じょうその手段に表白したばかりでなく、その鋒先ほこさきを「永々ながなが在京、事務にも通じた」というところの慶喜に向けた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その間、サー・デビーと大陸に旅行したちょっとの間が不在であっただけで、引きつづき永々ながなが御世話になりました。
と来たでしょう。バキチのほうでももう大抵たいてい巡査じゅんさがあきていたんです。へえ、そうですか、やめましょう。永々ながなが世話せわになりましたってうんです。
バキチの仕事 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
あくる日は午後から半日、暇を貰って頼まれた通りに蟹口の処へ来て、ツル子に色々と永々ながながの礼を述べた。
衝突心理 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
永々ながなが厄介やっかいな小僧をお世話様でしたのうと兄が挨拶あいさつしたあと、ぺこんと頭を下げ
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
「はい。では、引揚げましょう。永々ながなが御配慮ごはいりょありがとうございました」
ついてはご自身で返事書きたき由仰せられ候まま御枕おんまくらもとへ筆墨ふですみの用意いたし候ところ永々ながながのご病気ゆえ気のみはあせりたまえどもお手がき候わず情けなき事よとおん嘆きありせめては代筆せよと仰せられ候間お言葉どおりを
遺言 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
永々ながなが御本を難有ありがとう。」
魔術 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)