シルシ)” の例文
此を乞ひ取る人が争うて交換を願ふ為に、供へ物に善美を尽す様になつた。此山の土産は祝福せられた物のシルシであつて、山人の山づとは此である。
山のことぶれ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
このながめいみに入ったシルシは、宮廷貴族の家長のおこのうたみづのをひもや、天の羽衣ようの物をつけることであった。
水の女 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
而も其上の飾り物は、神を迎へるシルシの作り物である。食物の中に立てた松のシンも、単純なつまではなかつた。標の木を一つ/\の盛り物に立てたのである。
まれびとの歴史 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
此ながめいみに入つたシルシは、宮廷貴族の家長の行うたみづのをひもや、天の羽衣様の物をつける事であつた。
水の女 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
右方の力士はヒサゴ花を頭へ挿して出たが、瓠は水に縁のあるものだつたので、水の神の所属のシルシらしく、葵は、それに対立する神の一類を示したのだと思はれる。
草相撲の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
四五十年あとまでは、唯關と言ふばかりで、何のシルシもなかつた。其があの、近江の滋賀の宮に馴染み深かつた、其よ。大和では、磯城シキ譯語田ヲサダ御館ミタチに居られたお方。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
四五十年あとまでは、タダ関と言ふばかりで、何のシルシもなかつた。ソレがあの、近江の滋賀の宮に馴染み深かつた、其よ。大和では、磯城シキ訳語田ヲサダ御館ミタチに居られたお方。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
四五十年あとまでは、唯關と言ふばかりで、何のシルシもなかつた。其があの、近江の滋賀の宮に馴染み深かつた、其よ。大和では、磯城シキ譯語田ヲサダ御館ミタチに居られたお方。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
シロの幣束なる幣が、神の依りタヽニハシルシとなり、次いでは、人或は神自身が、神占有の物と定めたシメともなり、又更に、神の象徴とさへ考へられる様になつたのである。
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
本来はしめのやまで、神のしめるシルシの山といふ事である。神様を此標の山に乗せて、北野から引いて来て、悠紀・主基の御宮にお据ゑ申す。標の山は神の目じるしとしてのものである。
大嘗祭の本義 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
五節といふのは、五節イツヨの舞ひを舞うたから言うたのではあるまいか。五節イツヨの舞ひは、天子様の寿命を祝福する舞ひで、天子様の禊ぎの時に、竹で御身の丈を計つて、御身の長さだけの処へシルシをつける。
大嘗祭の本義 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其は、元服の時には物忌みのシルシにかづらを被ることを意味する。
はちまきの話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)