極端きょくたん)” の例文
死に至るまでかわらなかった・極端きょくたんに求むる所の無い・純粋じゅんすいな敬愛の情だけが、この男を師の傍に引留めたのである。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
ところが不思議なことには、一番細い繊維せんいを使って、感度を極端きょくたんにあげた象限電位計が、ここでは、半年もすると誰にでも使えるようになるのであった。
実験室の記憶 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
山の手の某所ぼうしょに住んでるある華族かぞくの老婦人が、非常に極端きょくたんな西洋嫌いで、何でも舶来はくらいのものやハイカラなものは、一切『西洋くさい』と言って使用しない。
「あるいは、そういうことになるかもしれないね。極端きょくたんにいうと、十時起床ということになるかもしれない。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「なぜだか、われわれには、まだ分っていない。自分たちの姿をわれわれに見せることを極端きょくたんにきらっているのだろうが、なぜそうなんだか見当けんとうがつかない」
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「しかも、この紳士は、極端きょくたんなくらい不自然に、四本指の右手を隠しているではないか! そういえば、車室にはいって来た時の態度からして、とてもおかしい!」
香水紳士 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
退学ということが両親兄弟を極端きょくたんに失望せしめ、一家将来の生活上に困難を来たし、一方には自分の栄誉えいよそれにともなう希望などが、根底より破壊はかいせらるるように考え来たり候えば
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
親方があまりはげしくおこらないとき、または他人をすこし愚弄ぐろう(ばかにする)しかけるときするくせで、まったくかれはそのイタリア風の慇懃いんぎん(ばかていねい)を極端きょくたんもちいていた。
だから物を浪費ろうひしないことは大切なことなのだ。但し穀作や何かならばそんなにひどく虫を殺したりもしないのだ。極端きょくたんな例でだけ比較をすればいくらでもこんな変な議論は立つのです。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
甲に対してこうまさるとか、あるいは彼らのたがいの短所がどこにあるとか、すこぶる冷淡に論じて、たまたま議論が極端きょくたんに走って、容易よういならぬ結果におちいるかと思えば、政治論はそれだけで
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
くその士気をふるうて極端きょくたん苦辛くしんえしむるの術あるべきや。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)