ちゃ)” の例文
「まあ/\、何とかそこのところを都合つけてくれ。この通りもう腰が立たないんだから、ちゃって置けば凍え死んでしまう」
一年の計 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と大きな声で怒鳴りながら、たちまち鬼のような顔になって袋も何もちゃって、あと引かえして追っかけて来た。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
果してその中込なかごめ礼子という、婦人に宛て送るつもりで書いたのか、書き終ったら気が変って、そのままうっちゃって置いたのか? それともこれを下書きにして
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
すると奴は、僕は文明に害われたとか、僕はしょせんルーヂンに過ぎないとか言いわけをするにきまっている。あんな男は打っちゃってしまい給え、頼むよ。泥んこから身を引き給え。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ちゃって、伊太利イタリイに肉迫した、必死の力漕には、すさまじいものあり、すでに、英伊二そうとも、ゴオルに着いているだけ、外国人は、無駄むだな努力に必死な、ぼく達をあきれてみていたらしい。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
これは打っちゃって置くべきことでないと思ったのであります。
しかし旅先で困っているものをちゃっても置けないじゃないか? 俺は何も兄の不始末をかくす気じゃない。そんな他人行儀はしない積りだ。
或良人の惨敗 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
かかあや小供が死んでも矢張やっぱり酒を飲んだ。うちが火事になっても、ちゃっておいて酒を飲んでいた。うれしいと云っちゃ飲んだ。悲しいと云っちゃ飲んだ。昨日きのうも飲んだ。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
荷揚げ機デレッキやブルドーザーなぞもちゃられたまま、工事半ばの立ち腐れを見せているのです。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
ちゃって置いたということは何とも済まない。
こっちからも汽車が来る。ちゃっておけば、衝突するにきまっている。
芝居狂冒険 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
見るとそこ等には誰もませんで、直ぐ前の横路地に、香潮の姿を見て逃げ出して行った果物屋の婆さんが、逃げかけに打っちゃって行った灰色の大きなマントと、黒い覆面の付いた茶色の頭巾と
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)