根生ねお)” の例文
これを聞いたリツプは、少し慌てた声で。「何うして私が暴動抔を致しませう。私は此土地の根生ねおひのもので、王さまの大の信仰者です」
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
座頭は三升みます大五郎(四代)という京都根生ねおいの役者で、これが由良之助をした。あまり上手ではないとの評判であった。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
かれも根生ねおいの鈍帳役者ではない、かの坂東三津五郎の門下で、大歌舞伎から流れ落ちたものであるというが、わたしは不幸にしてその前身を知らない。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その土地根生ねおひの教材が繁茂してゐることは、心ある後代の人をして、よく殘しておいてくれたと悦ばれることであらうし、その土地を語る大切なことであるから、地元の住民は
東京に生れて (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
あン畜生、根生ねおいの江戸ッの癖にしやがって、卑劣な謀叛むほんを企てたな。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
評判はその頃に高く去るもの日々にうとければ、名物一つかげを消して二度目の花は紺屋こうや乙娘おとむすめ、今千束町せんぞくまちに新つた屋の御神燈ほのめかして、小吉こきちと呼ばるる公園の尤物まれもの根生ねおひは同じ此処ここの土成し
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
金輪際こんりんざい夜闇やあん根生ねおふ姿なり五重の塔は立てりけるかも
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
小芝居根生ねおいの者もあったが、またそのうちには何かの事情で大芝居から小芝居へ流れ落ちた者もまじっていて、そこに侮るべからざる腕利きを見出だすこともあった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さらばうはさもうそにはあらず、うそどころかきしよりは十倍じふばい二十倍もつとし、さても、其色そのいろ尋常なみえなば、つち根生ねおひのばらのはなさへ、絹帽しるくはつとはさまれたしとねがふならひを、美色びしよくにて何故なにゆゑならん
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
金輪際こんりんざい夜闇やあん根生ねおふ姿なり五重の塔は立てりけるかも
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)