ばしら)” の例文
逃げ、逃げて、治良右衛門は、場内一隅の小高き丘の上、大軽気球の繋留所へとかけ上り、繋留ばしらの前にスックと立った。
地獄風景 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
井楼せいろう梯子はしごのぼってみると、そこにも、眼を光らしていなければならないはずの見張役みはりやくが、やぐらばしらの根もとに、つめを立ったまま、いきえていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
祭神は大国魂命おおくにたまのみこと大己貴命おおなむちのみこと少彦名命すくなひこなのみことの三ばしらだ。神殿の前に立つと、私たちは皆濡れしずくの麦稈帽をった。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
ずうっとまれた黒い枕木まくらぎの向こうに、あの立派りっぱ本線ほんせんのシグナルばしらが、今はるかの南から、かがやく白けむりをあげてやって来る列車れっしゃむかえるために、その上のかたうでを下げたところでした。
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
竹童ちくどうは、やぐらばしらにすがってびあがっている咲耶子さくやこのかげを下からあおいでいった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その間に本線ほんせんのシグナルばしらが、そっと西風にたのんでこういました。
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)