まげ)” の例文
サラバすこしく道をまげても当路へ出、国家のために力を尽し名をも後世にあげまほしきにて、みずから進んでもとむる人もあるべし、この二人は跡同じうして志異なりというべし
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
致すべき者にあらず是には何かわけの有べき事なりもし吉三郎盜みしにもせよむすめきく云號いひなづけなれば此方のむこなり是を訴へんは此方こなたはぢならずやまげて容し給へとのべけるを利兵衞少しも聞き入ず何を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『イヤまつたく貴君あなたの物で御座ございます、けれども何卒どうまげわたくしたまはりたう御座ございます』
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
されば是等これら餽物おくりもの親御からなさるゝは至当の事、受取らぬとおっしゃったとて此儘このままにはならず、どうか条理の立様たつよう御分別なされて、まげてもまげても、御受納とした小賢こざかしく云迯いいにげに東京へ帰ったやら
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
しば/\大津迄人遣候。必一見、既に今日当番、繰合昨夜相勤置程に相見渇望。従是僕直に伏見迄参候。路費乏少困入察候得共、何如様共可致、誰か少病気と称し、まげて今夜者伏見に滞留可被致存候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
相勤あひつとむる身分なればわきまへ居候へども只々天下の御爲國家の大事と存じいさゝか忠義と心得候へば何卒なにとぞまげ御身分おみぶん調しらべの事一おう越前へ御許し下されたしとおして願ひ申されける此時松平左近將監殿仰せらるには是越前其方は重役共の吟味を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)