書状てがみ)” の例文
そして、源三郎、つかつかと首のそばへ行って、しゃがむが早いか、固く結んだ歯を割って、首に、その書状てがみをくわえさせた。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その翌々日の事であった、東京なる高山法学士から一つう書状てがみが村長のもとに届いた。その文意は次の如くである。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
本當ほんたう奇妙きめうことだとおもつてると、あること、ウルピノ山中さんちうとて、子ープルスのまちからは餘程よほどはなれた寒村かんそんの、浮世うきよそと尼寺あまでらから、一通いつつう書状てがみとゞきました、うたがひもなき亞尼アンニー手跡しゆせき
半身手札型脱帽写真一葉、戸籍謄本、履歴書、医師の署名ある健康診断書、財産目録、これだけは忘れずに同封して、まるで保険会社の宣伝印刷物みたいに、さぞがさがさした重い書状てがみだったろう。
斧を持った夫人の像 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
青年は絶えずポケットの内なる物を握りしめて、四辺あたりの光景には目もくれず、野を横ぎり家路いえじへと急ぎぬ。ポケットの内なるは治子よりの昨夜の書状てがみなり。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
この書状てがみを、磯五がひらいたのだ。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
見ればみんな二通三通ずつの書状てがみを携えている。
遺言 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)