春風しゆんぷう)” の例文
藤木川ふぢきがはの岸を徘徊はいくわいすれば、孟宗まうそうは黄に、梅花ばいくわは白く、春風しゆんぷうほとんおもてを吹くが如し。たまたま路傍の大石たいせきに一匹のはへのとまれるあり。
病中雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
さしつたりと電光石火でんくわうせきくわいきほひ、げにもや電光でんくわう影裡えいり春風しゆんぷうるごとく、かたちえねど三尖衝角さんせんしやうかく回旋めぐところ敵船てきせん微塵みじんくだけ、新式魚形水雷しんしきぎよけいすいらいはしるところ白龍はくりようてんをどる、のこ賊船ぞくせんや三せき
柵内さくうちすな乾きゐて春風しゆんぷうにカンガルー跳躍とびのさぶしも
河馬 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
春風しゆんぷう珠簾しゆれんを吹いて、銀鉤ぎんこうたうするの処、蛾眉がびの宮人の衣裙いくんを洗ふを見る、月事げつじまた風流ならずや。(四月十六日)